Название: 英雄たちの探求
Автор: Морган Райс
Издательство: Lukeman Literary Management Ltd
Жанр: Зарубежное фэнтези
Серия: 魔術師の環 第一巻
isbn: 9781632910141
isbn:
曲がり角を回ったとき、眼前の光景を見て足が止まった。一瞬にして、悪夢が現実のものとなった。毛が逆立ち、この暗黒の森に足を踏み入れるという重大な過ちを犯したことを悟った。
ソアと向かい合い、30歩と離れていない場所にサイボルドがいた。四足で立ち、のそりのそりと動く馬ほどの大きさの筋肉質の体は、暗黒の森、いや恐らく王国中で最も恐れられている動物のそれだった。ソアは実物を見たことはなかったが、話に聞いたことはあった。ライオンに似ているが、ずっと大きく、体は深い緋色、目は黄色く光っていると。赤い色は、あどけない子どもたちの血の色からきていると言うのが伝説だった。ソアは今までに何回かこの動物を見たという話を聞いたが、どれも疑わしいとも聞いていた。それはこの動物に出会って生きて帰った者がいなかったからであろう。サイボルドを森の神であり、何かの前兆だと考える者もいる。何の前兆なのか、ソアには全く考えが及ばない。
ソアは慎重に後ろへ下がった。
サイボルドは巨大なあごを半分開けながら立ち、牙からは唾液を垂らし、黄色い目でこちらを見ていた。口にはソアの迷子の羊をくわえて。羊は叫び声を上げ、体の半分を牙に切り裂かれて逆さにぶら下がっている。虫の息だ。サイボルドは獲物をゆっくりと楽しみ、拷問に喜びを見出しているかに見えた。
叫びを聞くのはソアには耐えられなかった。羊は震え、無力で、ソアは責任を感じた。
ソアは振り返って逃げたい衝動にかられたが、それが無駄だということもわかっていた。この動物は何よりも走るのが速いだろう。逃げたところで相手をより大胆にさせるだけだ。それに羊を見殺しにすることはできなかった。
立ったまま恐怖に凍りつきながら、何か行動を起こさねばならないことはわかっていた。ソアの運動神経にバトンが渡った。ゆっくりと袋に手を伸ばし、石を出すと、投石具にはめた。震える手でそれを引き、一歩前に出て石を投げた。空中を伝い、標的に当たった。完璧な投石だった。羊の目玉に当たり、脳を貫通した。
羊はぐったりとなった。死んだのだ。ソアは羊を苦しみから解放したのだった。
サイボルドは、自分のおもちゃをソアが殺したことに怒り、にらみつけてきた。巨大なあごをゆっくりと開け、羊を落とした。羊はバサッという音を立てて地面に落ちた。サイボルドはソアにねらいを定めた。
深く、邪悪な声を腹の底から出してうなった。サイボルドがソアに向かって歩き始めた時、ソアは心臓をどきどきさせながら次の石を投石具に置き、手を置いて再び撃つ準備をした。
サイボルドが疾走を始めた。それはソアが今まで見た中で何よりも速い動きだった。ソアは一歩前に進み出ると、サイボルドが自分のところに到達する前に次の石を投げる時間はないのを知りつつ、当たることを願いながら石を放った。
石は右目に命中し、相手を倒した。すごい投石だった。もっと小さな動物たちならばひれ伏すほどの。
だが、相手は小さな生き物などではなかった。獣を止めることはできない。負った怪我に金切り声を上げながらも、スピードを緩めることさえない。目を片方失い、脳に石を残し、それでも一心にソアを襲い続けた。ソアにできることはなかった。
СКАЧАТЬ