英雄たちの探求 . Морган Райс
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      「ゆっくり行きなさいよ!」ソアが走り去る時、ちりを火にまき散らしながら金切り声を上げる。

      だがソアはペースを落としたりしない。老女のためにも、誰のためにも。脇道を一つ曲がり、また一つ、覚えている道をくねくねと曲がりながら家にたどり着いた。

      白土で、傾斜したわらぶき屋根の他の家となんら変わらない、小さな特徴のない住まいだ。ほとんどの家屋同様1つしかない部屋が分かれており、片側が父の寝る場所、もう片側を3人の兄が使っていた。他の家と違うのは、家の裏に鶏舎があることだった。ソアは押しやられて、ここで寝泊まりしている。最初は兄たちと二段ベッドに寝ていたが、彼らは成長してますます意地悪に排他的になり、ソアの居場所はないという素振りを見せてきた。ソアは傷ついたが、今では自分だけのスペースを楽しんでいる。兄たちと離れていられるほうが好い。以前からわかっていたことだが、家族から除け者にされているのがはっきりしただけのことだ。

      ソアは正面の扉に向かって走り、止まりもせずに駆け込んだ。

      「お父さん!」息を切らせて叫んだ。「シルバー騎士団がやってくるんだ!」

      父と3人の兄たちは、朝食の並ぶ食卓を囲んで背中を丸めて座っていた。一番良い服に既に着替えてある。その言葉を聞いて皆いっせいに立ち上がり、ソアを素通りして駆けていく。家から外の道に出るとき、ソアの肩にぶつかって行った。

      ソアが後から出て行くと、皆はそこに立ったまま地平線を見つめていた。

      「誰も見えないよ。」一番上のドレークが低い声で答えた。誰よりも肩幅があり、他の兄たちと同じように髪を短く刈り込んである。茶色の目と、薄く非難めいた唇をしている。その兄が、いつもと同じようにソアを上からにらみつけた。

      「俺もだ。」ドロスが言う。ドレークより1歳下で、いつも兄の側につく。

      「来るんだ!」ソアは言い返した。「誓うよ!」

      父親がソアのほうを向き、肩をきつくつかんで問いただした。「どうしてわかったんだ?」

      「見たんだ。」

      「どうやって?どこから?」

      ソアは躊躇した。父にはわかっている。ソアが軍団を見つけられるとしたら、山の上しかないということを知っているのだ。どう答えたらよいかソアには分からなくなった。「ぼく・・・丘に登ったんだ。」

      「羊と一緒にか?そんなに遠くに行かせたらいけないのはわかっているだろう。」

      「でも今日は特別だったから。どうしても見ずにはいられなかったんだ。」

      父はしかめっ面をする。

      「中に入ってすぐに兄さんたちの剣を取ってくるんだ。それから鞘を磨け。軍団が到着する前に、立派に見えるよう身なりを整えるんだ。」

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